久々の政治論
 久々に政治のことでも書いてみようかと思う。いや、実際には政治のことに限らず、文章を書くということ自体久々である。まあ、確かに年初に学会の予稿の素案を書いたし、昨日も卒業論文の第一稿を書き上げはした。昔はこれくらいのこと半日もあればできたような気がするのだが、すっかり力が衰えてしまったのか、思うようにかけなくなってしまった。やはり、力というものは使わないと錆びていってしまうのである。権利権力もまたしかり。
 とりあえず手慣らしということであまり当たり障りのないことから書いていこう。衰弱しているときに無理をすると、よけい悪くなってしまったりするからだ。ということで、この間の日曜日のサンデープロジェクトから。あれは、本来前前日の朝まで生テレビを見た上で見るべきものだったらしいのだが、その日自分はとある理由から大学にこもってしまっていて、朝生が放送されることをすっかり忘れてしまっていた。まあ、あれを見なかったからといって話の流れが全くわからないというわけでもなかったから、良しとしよう。
 話の内容は、日米防衛協力のガイドラインの見直しとその関連法の整備に関する議論。いわゆる「ガイドライン」と呼ばれているあれである。話はそれるが、我らがアイドル野沢明希子氏が琉大学生会長に当選されたわけだが、その彼女は早速街頭演説でガイドラインに関するご意見を述べておられる。ひじょうに頼もしいことであるのだが、誰も聞いちゃいない。これが現実なのだ。琉大に限らず、日本全体で「ガイドライン」に対して関心を持っている人間が、どれだけいることだろう。一昨年沖縄の問題がこれだけ叫ばれ、昨年は人工衛星打ち上げ用ロケット(防衛庁が主張するところのミサイル)が日本列島を通過したというのに、みんな誰も自分のこととして考えていない。まあ、ある意味当たり前ではある。沖縄なんて、日本列島のはずれにあるへんぴな島だし、列島横切ったのは人工衛星用のロケットだし、いざ戦争が起きても、すぐに徴兵制度が復活するわけでもない。
 ということで、この議論はあまり国民的関心を呼ぶ議論とは言えない。とはいっても、政治の世界ではそれではすまされないようで、自由党なぞは連立を組む第一条件としてガイドライン関連法の整備を突きつけてきたくらいだ。まあ、議論すること自体は悪いことではない。中世スコラ哲学のように、あらかじめ結論が決まっていることを前提に議論するのでなければ。いや、実際そういう雰囲気も感じたのだけど。
 議論は、一応与野党の対峙という形にはなっていた。座席配置はね。真ん中に田原総一郎がいて、その左手に自民・自由両党の代表、右手に民主・公明・共産党の代表。しかし、この民主党の代表がまた何となく頼りない。与党側と対峙していこうという気概が見られなかった。まあ、民主党の若手の主流は自民党以上にガイドライン法整備に積極的だというのだから、あれは当然といえば当然の行動だったのだろうけど。しかし、将来的に政権を目指して自民党と対決していかなければならない政党が、あんな事でいいのか。今度の都知事選にしたところで、自前で出す鳩山邦夫に「自民党が乗ってもいい」などという寝ぼけたことをいっている。せっかく自民党と対決して勝てるチャンスだというのに、何を考えているのか。岡山市長選で負けたのがそんなにショックだったのだろうか。
 それに対し、「おや」と思うほど与党に噛みついていたのが公明党。一応「ガイドラインの見直し自体は賛成だ」なんていってるけど、なんやかやと難癖ばかり付け、あげく共産党をかばうような発言までしてくれる。これは、公明党再結成ということで、最初の結党当時の理念に立ち返ろうということなのだろうか。もともと、支持母体の創価学会、その中でも婦人部は「平和路線」をずっと主張しているのだから、軍拡路線にも繋がりかねないガイドライン見直しには精神的に賛成しかねる部分もあるのだろう。
 共産党はいつもの通り。・・・・・といってしまうのは、大きな間違いである。多くの人は気づいていないだろうが、実は、共産党代表の筆坂氏は、共産党の歴史に残るような重大な発言をしてしまっているのである。残念ながらビデオに録画していないので、発言の一言一句までも覚えていないのだが、簡単にその内容を再現すると
(米軍との協力関係について)
田原:「じゃあ、実際に北朝鮮が攻めてきたりしたら、あなたどうするつもりなんですか」
筆坂:「そのときは、自衛隊とかあるでしょう。」
 ご存じの方もご存じ無い方もいるだろうが、共産党は自衛隊の存在を認めていない。もちろん、憲法九条との絡みで、「軍隊をもってはいけなぁ〜い!」という事に基づく主張である。日米安保条約を認めてしまった社民党に続いて、共産党も防衛政策を変えてしまう時代になったのだろうか。とじゃいっても、元々の共産党(戦後直後)は、実は「日本は軍隊を持つべきである!」という主張をしていた。そう考えると、これもやはり公明党と同じく「昔に帰る」ということなのだろうか。
 戦後最大の不景気の中社会は不安定さを増し、懐古思想も随所に見られる。いつ時計の針が逆回転しだしてもおかしくない状況ではある。そうすると、次はやはり戦争だろうか。ただでさえ少子化が進んで若年人口が減っているのに、この上戦争で若者を失ったりしたら、もう日本は二度と立ち直れないぞ。ああ、やっぱり終わりだねこの国。
 ちなみに、自分は戦争が起きたとしても兵隊になど行かない。戦争で死ぬくらいなら、自分の信念のために死ぬ。これだけは昔と変わってはいないようだ。他の多くのものは変わってしまったが。 −−−−−−−−−−−−−−
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