青汁レポート


 かつて私が小学生だった頃、学校給食にけんちゃん汁なる物が出されたことがある。どうやらけんちん汁を某母親がアレンジして自分の息子の名を付けた物らしかった。
はっきり言って、まずかった。元々私はけんちん汁自体好きではなかったし、それ以上に私の食してきた学校給食という物は化学調味料ごってりのくそまずいシロモノであったから、当然といえば当然のことではある。

そんなことはどうでもいい。

 青汁。正確には、キューサイの青汁。青汁というと本来は葉緑野菜の絞り汁全般を指すものだから、ケール100%のキューサイの青汁とは区別しなければならない。最もこの夏にはケールの替わりにキャベツが使われたこともあったらしいが。それでも、基本はケールである。
今ではよそが出す青汁も、ケールが基本になってしまったようだ。八名信夫がスーパーモーニングのCMで「マズイ〜」と言い出すまでは、図鑑に載ってるだけの超マイナー級の野菜だったのに。ちなみに、そのケールが載っていた図鑑は、私が小学生自分によく見ていた国際何とかいう所の図鑑であるが、それにはアダンの実をはっきり食用と記してあった。

 何はともあれ、青汁である。3年前の日本経済新聞社の調査で、「人として生まれたからには一度は口にしたい物」という調査で、ダントツトップの座を占めた青汁である。
(註:嘘です)
 以前から飲んでみたいとは思っていたのだ。そう、私はこれまで、ケール青汁を飲んだことはなかった。モロヘイヤなら、確か一度ある。あれは心底まずかった。というか、飲めない。粘性が大きすぎる。どろり濃厚もビックリ、ゲルルンジュースほどではないといったところか。って、どっちも飲んだこと無いけど。

 とにかく、飲んだことはなかった。無料サンプル制度があるのだから取り寄せれば飲めるはずなのだが、何故かしなかった。いつでも飲める、そんな安心感が、事の先送りの言い訳として使われていたのだ。

そして時は経ち、私は西都福岡にいた。
 ある日新聞受けに、キューサイの投げ込みチラシが入っていた。出張ヘルスのチラシも入っていた。
 出張ヘルスのチラシは、問答無用で捨てた。こんなものに1万円を払うほど、私は裕福ではない。その一万円で焼き肉でも食った方がよほど健康的だ。いやでも最近、あんまり肉喰いたいと思わないんだよな。必要性無いしね、身長伸びるの止まったし。やっぱこれからの時代は野菜だよ。野菜・・・
三日後。私は、チラシから切り取ったサンプル請求はがきを投函していた。

何日かして、サンプルが届けられた。
 届けに来たのは、感じのいいおっさんだった。押しつけがましいところはなにもなかった。まあ何しろ、あれだけマズイマズイと宣伝を売っているのだ、押しつけるわけには行かないだろう。それでも、約一月前に来た巨人優勝のポスターを携えてダイエー戦のチケットで新聞契約を迫ってきた読売勧誘員より遙かにいい。

こうして青汁が、やってきた。

 キューサイの青汁は、冷凍食品である。解凍しなければ飲めない。
しかも、電子レンジで解凍してはいけないらしい。確かに袋詰めだから、穴を開けずにレンジにかければ爆発する。爆発たまごと同じ原理だ。余談だが、某コンビニで働いていた頃、アルミパック入りの冷凍食品を暖めろとぬかす客が居て、しかも当時の同僚A氏はそれにすんなり応じてしまったため、えらいことになっていた。これは、爆発たまごとは原理が異なる。

 そういうわけで、室温で解凍。水に浸ければもっと早いのだろうが、別に急いでいないからいい。
 その間に、袋に書いてある注意書きを読んでみる。こういうものは、よく読まないといけない。思わぬ不利益を被る可能性だってある。以前雑誌で読んだことだが、かつて某表計算ソフトの使用許諾契約書には、「供給メディアの前で自慰行為をしてはいけない」ということが書いてあったそうだ。
 特に問題となることは書かれていなかった。強いて言えば、「味が気になるときは、牛乳・ハチミツ・リンゴジュース・酢・レモン等を混ぜておためしください」という下りか。青汁に牛乳・・・

 そして時は経つ。解凍完了。飲む。
 否、正確には完了していなかった。飲んだときに、氷のようなものが喉を通ったからだ。
それはいいとして。美味かった。

教訓:八名信夫は嘘つきだ。

って、最近のCMは、「マズイ〜」って言ってないらしいな。JAROに訴えられたらかなわんもんな・・・。
 
 
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