コンコン
名雪「誰?痴漢だったら帰って」
栞「痴漢じゃないです〜」
名雪「…痴女?!」
栞「わ、ひどいです〜」
名雪「…栞ちゃん?」
栞「はい♪」
がちゃり
栞「祐一さん、いますか?」
名雪「まだ帰ってないんだよ」
栞「そうなんですか…」
名雪「うん。部活だって」
栞「部活ですか…。じゃあ、仕方ないですね…」
名雪「そうだね。ま、あがって」
栞「はい」
佐祐理「…?」
名雪「あ、この子、栞ちゃん。香里の妹なんだよ」
佐祐理「あ、香里さんの…。初めまして〜、倉田佐祐理ですーっ」
栞「美坂栞です〜」
佐祐理「祐一さんに会いに来たんですか?」
栞「はい…よくわかりますね」
佐祐理「佐祐理は、大体の事情もう知ってますから」
栞「そうなんですか…」
名雪「でもこんな時間に来たりして、良いの?たぶん、もう電車無いよ」
栞「はい。ですから今日は、親騙して泊まり込むことにしました」
佐祐理「ふぇ〜…栞さん、大胆ですねえ…」
栞「と言っても、断られたらお姉ちゃんのところに泊まるつもりですけど」
名雪「…わたしは、いいけど…」
佐祐理「祐一さん、遅いですねーっ」
コン、コン
佐祐理「あ、また誰か来ましたよーっ」
名雪「誰?今度こそ痴漢?」
北川「残念ながら、俺は痴漢にはなりきれないなあ」
名雪「痴漢だ。帰って」
北川「お、おい待て。何でそうなる!」
名雪「冗談だよ」
北川「今の冗談は酷すぎると思うぞ」
名雪「そうかな…?」
北川「せめてストーカーぐらいにしてくれよなあ」
名雪「大して変わりないよ…。あ、入って良いよ」
北川「上がらせていただきます」
佐祐理「あ、北川さん?わーい、北川さんだ」
北川「あそこまで喜ばれるのもなあ。裏がありそうで怖い」
栞「あれ、北川さん。お久しぶりです」
北川「お、栞ちゃんまで。…ほう、なるほど。これは、川澄さん以外『関係者、全員集合!』ってところか」
佐祐理「あ、そういえばそうですね」
名雪「北川君は、栞ちゃん知ってたんだ」
栞「ええ、ちょっと」
北川「聞くも涙、語るも涙の複雑な経緯があってな…」
栞「そんなの無いです。ところで、関係者ってなんです?」
北川「うん。ま、さしずめ恋の複雑系科学といったところかな?」
栞「わかんないです…」
佐祐理「四角関係より複雑なんですよーっ」
栞「四角関係。…あ」
名雪「あ。そういえば…香里と祐一、今一緒にいるんだよね…」
栞「そうなんですか?!」
北川「おう。しかも、例の変態部長いなかったから、二人きりだったぞ」
栞「…」
佐祐理「何してるんですか、あの二人」
北川「それは…ちょっとな、俺には言えないなァ…」
栞「…」
すくっ
名雪「?!どうしたの、栞ちゃん」
栞「北川さん。二人、今どこにいるんですか?」
北川「え?サークル棟…の裏の森のプレハブ棟の一室」
栞「すぐわかるところですか?」
北川「あ、いや、…暗いしなあ…ちょっと、わかりづらいかと…」
栞「だったら、案内してください!」
北川「え?!ちょ、ちょっと待って、俺、今日は水瀬に…」
ばたん。
名雪「…」
佐祐理「ふぇ〜…。何が起きたんですかぁ?」