北川「はろぉ、えぶりばでぇ。ないすとーみーとそーす、ぴーすふるもぉにんぐえばぁぐりぃん?」
二人で作業を続けていると、突如意味不明な言葉を発する北川が現れた。
祐一「お前、何人だ」
北川「天下無敵のバギ星人」
祐一「それはこのSSの作者だ」
香里「何を言ってるの?」
祐一「で、何しに来たんだ。今になって入部か?」
北川「いや何、ちょっとした援助活動さ」
そういって北川は、スーパーの袋をどさりと置いた。
祐一「…夜食買ってきてくれたのか。何て気が利く奴だ」
北川「ま、俺は二人の仲を応援してるからな」
祐一「…!」
香里「ありがと、北川君」
祐一「なにぃ!否定しろぉ!」
…まて。いやまて。香里にとっては、否定する事じゃない。そういえば、そうなんじゃないか。
北川「しかしわるいねえ、差し入れとは言え二人きりのところを邪魔したりして」
香里「いいのよ。これの支払い、全部北川君が持ってくれるんでしょ?」
北川「はっはっは、参ったなあ」
…二人きり。
祐一「そこに新濃が隠れて寝てるんじゃないのか?!」
香里「いないわよ。ちゃんと確認したもの」
なんだと。
すると、どういうことだ?そういうことなのか?
夜中に、決して広くない部屋に、俺と香里で二人きりということなのか?
香里「(にこにこ)」
まさか、最初からこれが目的だったんじゃ…
もしかして、俺ははめられたのか?!
北川「ということで、俺は早々に退散するよ」
祐一「ま、待て北川。お茶ぐらい飲んでいかないか?」
北川「生憎俺は夜の茶は飲まない主義なんだ」
香里「北川君。名雪のアパートに、佐祐理さんが来てるわよ。二人だけじゃつまんないって言ってたわ」
北川「ほう。それは良いことを聞いた」
香里「じゃあ、またね」
北川「おう」
祐一「い、行っちまうのか!」

コンコン
名雪「誰?痴漢だったら帰って」
栞「痴漢じゃないです〜」
名雪「…痴女?!」
栞「わ、ひどいです〜」
名雪「…栞ちゃん?」
栞「はい♪」
がちゃり
栞「祐一さん、いますか?」
名雪「まだ帰ってないんだよ」
栞「そうなんですか…」
名雪「うん。部活だって」
栞「部活ですか…。じゃあ、仕方ないですね…」
名雪「そうだね。ま、あがって」
栞「はい」

佐祐理「…?」
名雪「あ、この子、栞ちゃん。香里の妹なんだよ」
佐祐理「あ、香里さんの…。初めまして〜、倉田佐祐理ですーっ」
栞「美坂栞です〜」
佐祐理「祐一さんに会いに来たんですか?」
栞「はい…よくわかりますね」
佐祐理「佐祐理は、大体の事情もう知ってますから」
栞「そうなんですか…」
名雪「でもこんな時間に来たりして、良いの?たぶん、もう電車無いよ」
栞「はい。ですから今日は、親騙して泊まり込むことにしました」
佐祐理「ふぇ〜…栞さん、大胆ですねえ…」
栞「と言っても、断られたらお姉ちゃんのところに泊まるつもりですけど」
名雪「…わたしは、いいけど…」
佐祐理「祐一さん、遅いですねーっ」

コン、コン
佐祐理「あ、また誰か来ましたよーっ」

名雪「誰?今度こそ痴漢?」
北川「残念ながら、俺は痴漢にはなりきれないなあ」
名雪「痴漢だ。帰って」
北川「お、おい待て。何でそうなる!」
名雪「冗談だよ」
北川「今の冗談は酷すぎると思うぞ」
名雪「そうかな…?」
北川「せめてストーカーぐらいにしてくれよなあ」
名雪「大して変わりないよ…。あ、入って良いよ」
北川「上がらせていただきます」
佐祐理「あ、北川さん?わーい、北川さんだ」
北川「あそこまで喜ばれるのもなあ。裏がありそうで怖い」
栞「あれ、北川さん。お久しぶりです」
北川「お、栞ちゃんまで。…ほう、なるほど。これは、川澄さん以外『関係者、全員集合!』ってところか」
佐祐理「あ、そういえばそうですね」
名雪「北川君は、栞ちゃん知ってたんだ」
栞「ええ、ちょっと」
北川「聞くも涙、語るも涙の複雑な経緯があってな…」
栞「そんなの無いです。ところで、関係者ってなんです?」
北川「うん。ま、さしずめ恋の複雑系科学といったところかな?」
栞「わかんないです…」
佐祐理「四角関係より複雑なんですよーっ」
栞「四角関係。…あ」
名雪「あ。そういえば…香里と祐一、今一緒にいるんだよね…」
栞「そうなんですか?!」
北川「おう。しかも、例の変態部長いなかったから、二人きりだったぞ」
栞「…」
佐祐理「何してるんですか、あの二人」
北川「それは…ちょっとな、俺には言えないなァ…」
栞「…」
すくっ
名雪「?!どうしたの、栞ちゃん」
栞「北川さん。二人、今どこにいるんですか?」
北川「え?サークル棟…の裏の森のプレハブ棟の一室」
栞「すぐわかるところですか?」
北川「あ、いや、…暗いしなあ…ちょっと、わかりづらいかと…」
栞「だったら、案内してください!」
北川「え?!ちょ、ちょっと待って、俺、今日は水瀬に…」
ばたん。

名雪「…」
佐祐理「ふぇ〜…。何が起きたんですかぁ?」

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