家に戻ると、既にみんな揃っていた。
名雪「祐一、遅い。」
祐一「悪い、ちょっと変な奴に捕まってた。」
佐祐理「宗教ですかーっ?」
祐一「…似たようなもんだった。」
香里「で、入ったの?」
祐一「まさか。」
香里「残念。」
祐一「何だよ残念って…。」
舞「…・おなかすいた。」
佐祐理「じゃあ、そろそろ食べましょうかーっ」
北川「相沢、おまえ、食べたあとの後かたづけ一人でやれよ。」
祐一「何で俺が」
北川「買い出しさぼったからだ。」
祐一「別にさぼったわけじゃ…。」
だが、結局俺一人で片づけをすることになった。覚えてろ北川…。
3日後。俺の足はサークル棟に向いていた。
何となく、見るだけ見ておこうという気になったのだ。何故そんな気になったかはわからない。
祐一「…ここか?」

サークル棟の裏の森、そこに今にも崩れそうなプレハブの建物が建っていた。

祐一「…階段上ったら崩れるんじゃないだろうな?」

その鉄製の階段は錆び付き、踊り場に使われている板は穴が空いていた。

祐一「…ここが部室か。」

「ノックは無用」というプレートがかかっている。そういえば、昔そんな番組があったような気もするな。あれの司会者はその後知事になってセクハラしまくったそうだが。

祐一「…入ります。」
新濃「やあ、君は3日前にあった人だね。私はここの部長の、新濃久里延だ。」
祐一「…・あんた、部長だったのか。」
香里「相沢君。あなたもこの部にはいるつもり?」
祐一「香里…。何でおまえがここに。」
新濃「美坂さんは、我々の思想に共鳴し、仲間となってくれることになったのだ。」
祐一「そうなのか、香里?!」
香里「ま、そういうことね。」
新濃「美坂さん、彼はあなたの仲間かな?よろしければ、彼も我々の仲間に加わるよう、説得していただけないだろうか。」
香里「そうね。」
祐一「ま、待て香里、おまえは騙されている。こんなやばい、変な奴が部長やってる部なんて、絶対なんかある。」
香里「変なのはあなたも同じよ、相沢君。」
祐一「どういう意味だ。」
新濃「相沢君、か。君とはいい友達になれそうだな。」
祐一「ならん!なれない!なるつもりはない!」
新濃「その三段活用は間違っている。」
香里「相沢君の負けね。」
祐一「勝手に勝負を決めるな!」
香里「負けたからには、正式に入部してもらうわよ。」
祐一「俺は負けてないし、部にはいるつもりもない!」
新濃「相沢君。人には、守らなければならないものがあるのだよ。」
祐一「約束なんかしてないぞ!」
香里「約束じゃない。これは、命令よ。」
…こうして俺は、一瞬にして怪しい奴が部長をやってる謎のサークル「郷土研究部」に入ることになってしまった。それにしても、何故香里はこんなところに入る気になったのだろう。
香里「秘密。」

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