香里「・・・・で、机ひっくり返して飛び出してきたわけね。」
祐一「そこまではしてないけど・・・。」
佐祐理「あははーっ。祐一さんらしいですねーっ。」
祐一「だって、あんな条文認められるかよ。何が、学生のための組織、だ。」
香里「契約して生徒の紹介だけ受けて、そのまま自主契約に切り替えちゃう人がいるのよ。そういう人を防ぐための条文ね。」
祐一「それにしたって、シュートがボるからだろ?」
香里「まあ、ね。」
舞「・・・でも祐一、これでバイト無くなった。」
祐一「そうだな・・・。」
佐祐理「でしたら、佐祐理の契約したところなんかどうですかぁー?報酬がシュートより低いですけど、良心的だそうですよーっ。」
祐一「親から取る金額も低いって事か?そんなとこがあるのに、何でシュートがつぶれないんだ?」
香里「資本力の差ね。」
祐一「話聞いてみようかな・・・・。」
佐祐理「じゃあ、後で佐祐理と行きましょう。大丈夫、きっと祐一さんのお気に召しますよーっ。」
祐一「そうですね・・・。済まん香里、おまえ一人をシュートに残すことになりそうだ・・・。」
香里「あたしなら大丈夫よ。いずれ自主契約に切り替えるつもりだから。」
祐一「ぐあ・・・。さっき言ってたやつってのは、おまえのことだったのか。」
舞「・・・でも、契約違反。」
香里「公序良俗に反する契約は、最初から無効なのよ。だから守る必要もない。」
祐一「そうなのか・・・?」
佐祐理「裁判になったら大変ですよーっ。」
香里「ならないわ。訴訟を起こしてもシュートが勝つとは限らないし、勝っても負けても彼らの信用に傷が付くもの。」
舞「・・・でも、契約切るかも知れない。」
香里「それこそ願ったりかなったりだわ。向こうから切ってくれれば、こっちは何の気兼ねもなく動けるんだから。」
祐一「親の側が素直に応じるか?」
香里「そう仕向けるのよ。あたしでなきゃ絶対ダメだ、って思わせるくらいの実績を残してね。」
祐一「・・・香里。おまえって・・・・。」
香里「なあに?」
祐一「・・・・・・・・・・・・すごいな。」
香里「褒めてくれてるのよね。ありがとう。」
俺にも香里並の知識と戦略性があればいいのに。そう思わずにはいられない春のある日だった。
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